これまでの講演会(第71回ー第87回)

87 後藤修 2014/04/04
北米トヨタ社ワシントン事務所
グローバル企業の海外展開〜世界でビジネスする場合の難しさ〜

86 米井友浩 2014/03/21
東日本電信電話株式会社
就職活動面接セミナー

84 マークナッパー・遠藤和也 2013/12/04
国務省東アジア・太平洋局日本部長
東アジア情勢と日米関係〜現在の日本を取り巻く安全保障環境〜

83 新堀仁子 2013/11/25
テレビ朝日ワシントン支局長
女性支局長が語るジャーナリズム

82 日高一郎 2013/11/11
ANAシカゴ支店長
ボーイング787プロジェクトにみる、商社と航空会社のビジネス

81 中沢慶一朗 2013/10/25
JICAアメリカ合衆国事務所長
アメリカ合衆国事務所長に聞く〜開発に携わるとは〜

80 中村春菜 2013/10/03
Mynavi USA Corporation
座論×マイナビUSA 留学生向け就活ガイダンス

79藤井隼生 2013/10/02
東海道旅客鉄道ワシントン事務所
日本の鉄道会社の海外展開

78 富田浩司 2013/04/19
日本大使館次席公使
国際社会の中の日本

77馬渕俊介 2013/04/17
世界銀行ヘルススペシャリスト
プロフェッショナルが語る開発援助の真髄〜JICA、マッキンゼー、世界銀行を経て〜

76 筒井隆司 2013/04/10
株式会社SONY渉外部門長
日本の若者と日本の将来を考える〜民間企業の国家貢献〜

75 李刚 2013/04/05
中国大使館参事官
日中関係:戦略的互恵関係とは

74片山健太郎 2013/03/28
財務省官僚
世界と日本と財務省ー今後の日本に必要なグローバル人材とはー

73青山和弘 2013/02/02
日本テレビワシントン支局長
テレビ業界でグローバルに働くということ~テレビ局の裏側にせまる~

72ウィアム・ブルック 2012/11/29
ジョンズ・ホプキンス大学SAIS日本研究非常勤教授
日米関係:沖縄の米軍基地問題

71 秋山勇・栗林顕・堂ノ脇伸・米山伸郎
伊藤忠商事株式会社・双日株式会社・住友商事株式会社・三井物産株式会社
総合商社ディスカッション ~ワシントン事務所長の視点から見たアメリカにおける総合商社の役割~

これまでの講演会(第54回ー第70回)

70 吉川正章、嶋岡幹 2012/10/15
アクセンチュア•村田製作所
就活面接セミナー

69 藤崎一郎、足立研幾、Andrew Oros、ミレヤ•ソリス
駐米二本大使•アメリカン大学国際関係学部教授•ワシントン•カレッジ教授• アメリカン大学国際関係学部准教授
The U.S-Japan Security Alliance Panel〜How has the relationship changed through 3.11?〜

68兼盛玉輝 2012/02/01
伊藤忠商事
目指せ内定!座論•就職面接セミナー

67中屋佑司氏、春木和弘氏、梶原崇幹 2012/02/11
共同通信ワシントン支局長•共同通信経済部•NHK政治部
2012年米大統領選挙:ジャーナリストが紐解く見所と展望

66油木清明、河内裕典、リチャード•リノウズ、ミレヤ•ソリス 2011/12/03
日米経済団体連合会•世界銀行シニアエコノミスト•アメリカン大学経営学部准教授•アメリカン大学国際関係学部准教授
パネルディスカッション 3/11•東日本大震災から9ヶ月復興と課題

64高橋佳子 2011/11/19
ワシントンDC空港所旅客部
ANAから見る航空業界

63吉村亮太 2011/10/29
住友商事
総合商社とは何か?〜商社の変遷とこれから〜

62大澤直美 2011/09/22
Mainichi Communications USA Inc. (マイコミ)
マイコミ•座論就活ガイダンス

61阿部義章、森秀樹 2011/04/22
日米研究インスティテュート(USJI)運営アドバイザー/早稲田名誉教授• 世界銀行研究所教務局長
世界銀行職員からみる、世界銀行とは?

60      2011/04/13
日本復興への道

59安永修章、松原かつや 2011/04/02
TFT Washington DC 支部
Table For Two USAの挑戦〜開発途上国の饑餓と先進国の肥満を同時に解決する試みとは?〜

58夷智之 2011/03/26
三菱東京UFJ銀行元DC事務所長
米政府の保守 リベラルの対比

57 瀬川夏樹、兼盛玉輝 2011/03/18
伊藤忠商事
一流商社マンと三流商社マンの裏表

56         2011/03/16
日米安全保障条約における在日米軍基地問題

55 金森貴銅 2011/02/23
外務省国際連合日本政府代表部
国連就職説明会

54 黒木正樹 2011/02/10
立命館大学経営学部教授
日米間における起業家の相違と展望

レポート: 第87回講演会 グローバル企業の海外展開~世界でビジネスする場合の難しさ〜

去る2014年4月4日(金)に行われました、第87回講演会『グローバル企業の海外展開〜世界でビジネスする場合の難しさ〜』についてご報告させていただきます。

本講演は18時から20時半まで、トヨタワシントン事務所にて行われました。北米トヨタ社にてご活躍されている後藤修氏をお迎えして、トヨタ自動車の歴史と今後の展望、後藤様の海外勤務経験やグローバルで活躍する人材になる為に必要なことは何かなどといった幅広いお話をしていただきました。

自らのご経験や詳細なデータなども交えながら、世界で日本産業を牽引する自動車産業について分かりやすくご説明いただき大変興味深いお話を聞くことができました。将来自動車産業のフィールドで働きたいと考えている方はもちろん、そうでない方も多くを学ぶことができ、非常に有意義なものになったと思います。

お忙しい中足を運んでくださった20名の皆様、ありがとうございました。

座論

レポート:第86回講演会 就職活動面接セミナー

IMG_0254

去る2014年3月21日(金)に行われました第86回講演会「就職活動面接セミナー」について報告させていただきます。

東日本電信電話株式会社の米井友浩氏をお迎えして、就職活動を控える学生の実践的な面接対策の機会の提供をすべく開催しました。今回は18時半よりAmerican University, SIS 233で実施し、15名の方にご参加いただきました。

講演会では、まず就職活動を迎える学生へのアドバイスとして、面接以上にエントリーシートが重要である点、留学中の学生はワシントンDCにいる社会人の方からお話を伺える機会を有効活用するべきであるという点をご指摘されました。その後の面接では、面接希望者が1人8分を目処に個人面接を行い、米井氏より各個人に直接フィードバックを頂きました。質問には端的に答えること、なぜその企業でなければならないのかを簡潔に答えることなど様々なアドバイスをされ、多種多様な業界に就職を希望する各個人が実践的で緊張感溢れる模擬面接を経験することができる貴重な機会となったのではないかと思います。今後も座論では様々な企画を計画していますので、どうぞご期待ください。

本日お忙しい中、足を運んでくださった皆様ありがとうございました。

座論

第一回インタビュー:世界銀行 荻田聡様(交通専門官)

荻田聡さん

座論第一回インタビュー
世界銀行 交通&ICTセクター 交通専門官
荻田聡さん

東京大学工学部卒、東京大学新領域創成科学研究科国際環境協力コース修了。開発コンサルティング企業である株式会 社パデコの交通インフラ専門家として東南アジア、南アジア、中東、東欧に渡る15の途上国にてコンサルティング案件に従事。2009年よりハーバードケネディースクール公共政策学修士課程に留学し交通経済とインフラファイナンスを専攻。留学中にアジア開発銀行(マニラ)にてインターン。卒業後の2011年に世界銀行に入行し、ブラジルの道路プロジェクトへの融資案件を担当。

世界銀行に入行して3年、荻田聡さんはワシントンDCに位置する世界銀行本部、交通&ICTセクターにてブラジルの交通セクターへの融資案件監理、プロジェクト評価に従事されている。 日本の開発コンサルティング会社で交通インフラ計画の専門家として、世界の各地で開発事業のコンサルティングに携った経歴を持ち、これまで交通インフラの第一線で活躍されてきた。
本インタビューでは、荻田さんに世界銀行の主要なミッションと業務、世界銀行でインフラ事業に携わる事について、そして荻田さんが現在のキャリアを歩まれたきっかけについてのお話を伺い、最後に留学中の日本人学生へ向けてメッセージを頂いた。
※尚、本インタビュー記事は個人の見解であり世界銀行を代表するものではありません。



世界銀行とは何か

貧困解決と専門知識の提供

世界銀行では2年前に総裁に就任したジム・ヨン・キム総裁のリーダーシップの下、新しいミッションとして、Twin goals:2030年までに、
1. End extreme poverty (1日1.25ドル以下で生活している人)の割合を世界で3%以下に減らす、
2. Promote shared prosperity (各途上国の中での所得分布における最下層40%の成長を促す)
の実現を掲げています。これらの目標に対して世銀が取り組んでいる事は、「銀行」として資金援助(ローンと返済の必要のないグラントの両方のスキームがあります)をすることを通じて、開発途上国の方と一緒に開発の課題に対してどうアプローチすれば良いのか、どのようなプロジェクトを作れば良いのか、どのように実施すれば良いのか、といった専門性の高いアドバイスをすることです。
お金を貸す機関は民間銀行など他にもありますが、途上国の政府や企業は返済能力が弱く信用が無いとみなされ、お金を借りるのが難しい状況です。世界銀行はそういった途上国に低い利子で融資する、または資金供与します。もちろんそれぞれの国の財務力などに応じて貸出限度額を設けているので、大きな国(中国やブラジルなど)はたくさんお金を借りる事が出来ます。

プロジェクトの決定

私自身、世界銀行がどのようにプロジェクトが作られて決定されているのか入行するまではよくわかっていませんでした。入ってみてわかったのは、世銀は現地の政府と様々な人的なコネクションを持っていることです。現地政府の方々と日頃からどのような課題があり、どう解決していくか、お互いに意見を交換していきながら、少しずつプロジェクトが形になっていきます。最終的には世銀の理事会や相手国政府など高いレベルの承認が必要ですが、何をやらなければいけないのかをよく把握している現場レベルの人とのディスカッションがきっかけになることが多いです。


・世界銀行の組織構造

今年の7月1日に大きな組織改革がありました。改革の最大の目的はキム総裁が提唱したGlobal Practice、つまり世界の全地域をカバーしている世銀の強みを活かして、世界各地の経験や知識の共有を進めて開発にアプローチすることです。これまでは世銀は大きく6つの地域局に分かれており、その中でさらにセクターに細分されていましたが、7月からは18セクターに再編されました。私は現在、Transport and ICT (Information and Communication Technology: 通信情報技術) というセクターに所属しています。セクターとして分けることで地域を跨いだ仕事、例えばラテンアメリカ担当の人が東アジアの案件を同時に担当しやすくするのが狙いです。


・インフラ事業とは

インフラ事業の業務

インフラは上下水道、電力、道路や鉄道などをはじめとした生活に密着したありとあらゆるところに存在し、大雑把に言うと外を見て建物以外の人工物は全てインフラです。これらのインフラ整備は通常途上国の政府が主体となって計画、建設し、維持運営を行っていますが、途上国では資金不足で必要なインフラ整備が難しい状況です(先日キム総裁は途上国が必要とするインフラ投資は毎年100兆円と言及しました)。世銀の業務としては、自分たちで何かを建設することはなく、あくまで実施主体である先方政府に融資や返済の必要がない無償援助という形で資金援助を行いながら実施をサポートしています。土木工事が必要な場合は建設業者と契約しなければいけませんが、この契約も相手側の政府が行い、世銀が直接建設業者と契約することはあまりありません。どのように工事をすべきなどのアドバイスは行いますが、あくまでも世銀のクライアントである政府を相手に行います。またインフラの種類によっては民間企業が直接建設・運営することもありますが(例えば東京の私鉄など)、世銀グループの一つであるIFCがインフラを整備する民間企業にお金を貸し出すこともやっています。

インフラ事業の経済発展への影響

インフラ整備が経済発展に与える影響が非常に大きいことは説明するまでもないと思います。交通インフラの分野では、例えば道路利用者(運転者)の運転時間が短くなる、燃料が節約できるといった便益の計算をして効果があるとみなしたプロジェクトを実施します。一方で、個々のプロジェクトがどういうメカニズムで、どのくらいの影響を国や地域の経済発展に及ぼすかを定量的に評価するのはとても難しい問題です。例えば『このプロジェクトによって貧困率は何%減りました』ということは簡単には分かりません。そこで世銀では個々のプロジェクトの経済発展のインパクトを住民レベルで計測する評価方法を調査・研究を通じて模索しています。


・GDP世界7位、ブラジルでの事業

ブラジルは現在GDPで世界7位です。こういった発展している国と低所得国とでは仕事のアプローチは全く異なります。ブラジルのように発展していると民間企業の技術レベルも高く通常の工事は問題なくできるため、先進国で行われていることと同様のレベルのアドバイスが必要になっています。例えば、道路整備を行う際に防災や環境など他の分野とどう総合的に考えて政策を考えればよいか、などのテーマを掲げて技術支援をしています。


・世界銀行本部での業務

交通専門官として

ブラジル各地の州政府に対して道路改良や補修の為の融資プロジェクトを4つ担当しており、私の業務はこれらのプロジェクトのマネジメントです。世銀のお金を利用して工事や調査を行うためには多くの手続きが必要となり、それらがスムーズにいくように日々努力しています。世銀に入って3年目になりますが、インフラプロジェクトは多くの場合5、 6年はかかるので、担当プロジェクトは3年前とあまり変わっていません。
さらに技術面や政策面のアドバイスも行っています。例えば道路工事をする際、工事に対してお金を支払う代わりに、5年という長期に渡り道路が良い状態であれば支払いをするという契約に変えました。そうすることで建設会社も最初の工事をきちんと行い、さらにその後も常に道路を良い状態に保つインセンティブが生まれ、実際に道路の状況もかなり改善しました。世銀はこのような契約手法(Performance-Based Contractと言います)を積極的に推進しており、ブラジルやその他の国でも徐々に広がってきています。

言語の壁

実際に業務をする中で最も苦労した事はポルトガル語です。しかし勉強を始めると、英語と似ている単語もあり、さらに日本語と母音がほとんど一緒なので聴き取りやすい事に気づきました。今では仕事が何とか出来るくらいまで話せるようになりました。世銀に入って驚いた事は、多くの人が3~4カ国語を話せると言う事。国際機関で働くには様々な言語を話せることはとても有利です。
業務をする上で心掛けている事は、相手が何を考えているかを常に理解しようとすることです。外国人と仕事をする上で言語の壁やコミュニケーションバリアがあるのは当然です。これらを超える為には、一生懸命コミュニケーションすること以外にないと思いますし、それにより現地の人が本当に望んでいること、必要なことを理解することができると思います。
世銀における仕事のやり方については日本とそんなに変わらないと思います。自分が何をやらなければいけないかを理解して行動することは全ての仕事において共通している事です。もちろん慣習や行動で異なることはありますが、個人的には日本で仕事をするのとあまり違いを感じていません。


・開発、インフラ事業への興味、現職に至るまで

大学の時に1ヶ月間友達3人と中国の奥地へバックパッカーをした経験が、今私がしている途上国開発に興味を持ったきっかけです。旅行自体は死ぬ程大変だったんですが意外と面白く、これを機にバックパッカーにはまり東南アジアやヨーロッパを色々と巡りました。就活中は専攻が土木工学科だったこともありインフラ関係の仕事に就きたいと思っていました。ちょうどその頃日本では公共事業の削減が大きな政治テーマになっており、自分の仕事がどこで必要とされているかを考えた時に、貧困国でインフラのニーズがある所に行って仕事をする方が幸せだろうと思い、開発コンサルティングの仕事にしようと決めました。
8年間コンサルティング仕事をして感じた事は、専門知識や現地情報は豊富に持っているものの、それを実際にどのように実現するかという話になるとコンサルの立場では無力になることでした。なので、留学して経済やファイナンスなどを勉強し自分の視野を広げ、留学後は政策レベルでの意思決定ができる立場での仕事をしてみたいと思うようになり、世銀に興味を持ちました。
現在はコンサルタントを雇う側の立場ですが、開発コンサルティング会社でしていた仕事は今の仕事と関連しており、かつコンサルタントがどのように仕事をするか分かっているので、コンサルタント会社での経験はとても現在の業務の役に立っています。


・グローバル人材とは…?

実はグローバル人材という言葉があまり好きではありません。英語で仕事が出来ればそれでグローバル人材だという認識がどこかあるような気がするのですが、例えばアメリカで成功したからといって他の国でも成功できるとは限りません。私はブラジルで仕事をするうちにアメリカとは全然仕事のやり方が違うことに気づきました。他の国々もそれぞれやり方は異なるはずで、本当の意味で世界中どこでも仕事ができる人はいない、つまり文字通りの“グローバル”人材などいないと思っています。グローバル人材になることより、仕事のチャンスが与えられた時にそれが今までとは違う環境でも素早く順応でき、自分の可能性を広げられることがずっと重要なことだと思います。なので、抽象的なグローバル人材を目指すより、自分のやりたいことかつ自分の能力が発揮できる舞台に適応できる力をつける事がよほど大切だと思います。


・留学中の学生に向けて…

前職で15カ国の途上国で仕事をしていた事もあり、留学もなんとかなるだろうと軽く考えていましたが、実際に来てみると英語もわからず大変でした。 授業の進むスピードも速いし、物事の進め方も全然違って最初はショックを受けました。しかしこの経験が後に世銀で働く際に役に立ちました。特に違う国同士の人とどうやって上手くやっていくか、という事を留学中にいろいろもまれたお陰で今はだいぶ楽になっています。

留学中にしておいた方が良いことは、出来る限り外国人の友達を作る事です。友人と遊んだり話をするうちにコミュニケーションの取り方なども徐々に分かってくるので、友達を作るのはとても大切です。これが後に就職した時に、抵抗無く外国人と仕事が出来るということに繋がっていくのではないでしょうか。


・国際機関で働く上での留学の意義

先ほど話したように世銀はただお金を貸すだけではなく様々なアドバイスをする機関なので、開発に必要とされる各分野における専門知識はとても重要です。留学は開発の仕事をする上で必要な知識、専門性を得るにはとても良い機会です。日本国内でも専門知識を身に付ける事は出来ますが、実務レベルで英語を使えるようになるにはやはり海外経験が要求されます。もし将来国際機関で働きたいと考えているならば、まずはしっかりとした専門性を身につけて欲しいですし、その上で留学という海外経験をうまく使ってくれればと思います。

座論 2014年7月
文責:伊奈、西原、林